昨年7月に乃木坂46を卒業し、1人での活動をスタートさせた松村沙友理。ドラマをはじめ各方面で活躍する彼女だが、本人がプロデュースするアパレルブランド『Lantinam』を今年6月にローンチさせた。今回、卒業から1年を振り返り、これまでの活動のなかで見えたインフルエンサー・松村沙友理としてのあり方を掘り下げてもらった。(編集部)
──松村さんがプロデュースするアパレルブランド『Lantinam』がローンチし、第一弾商品の販売が6月10日からスタートしています。このブランドの成り立ちについて、聞かせていただけますか?
松村沙友理(以下、松村):実はアイドル現役時代から、そういうお洋服をプロデュースすることにとても興味があって。乃木坂46のときにたくさんの衣装を着させていただいて、それこそ自分の卒業コンサートやメンバープロデュースで演出を考えるときに、何回か自分たちでアイデアを出させていただいたこともあったんですよ。そこで興味をもったのが、きっかけのひとつ。
それと同時に、お洋服が持つ魔法というのもアイドル時代にすごく感じていて。私は本当に普通の人間なんですけど、そういう普通の人間が衣装を着るとその一瞬でアイドルになれる感覚が毎回あったんです。たとえばテレビ番組に出演する際、「なんだか今日はちょっとスイッチが入らないな」というときも衣装を着た瞬間、乃木坂46になれる気がして。その魔法をいろんな女の子にも体験してもらえたらいいなと思ったのが、もうひとつのきっかけです。
──普段着ないようなアイドルの衣装を着用すると、ちょっと鎧を纏うような感覚もあったんでしょうか。
松村:私の中ではメイクが“鎧”だったんですよ。私はすっぴんで外を歩くのが苦手なくらい、メイクで自分を武装しないと怖いなという感覚があったんですけど、衣装はどちらかというとシンデレラが魔法にかけられている感覚というか。戦う武器みたいなものじゃなくて、本当にお姫様とかアイドルになれる魔法のアイテムという感覚があって、すごく幸せなものだと思っていたんです。
──非日常に導くような?
松村:そう、非日常に連れて行ってくれるアイテムですね。
──では、このブランドで作っていきたいものは、まさにそういう洋服を一般の人たちにも提供して、松村さんと同じような感覚を味わってもらいたいと。
松村:そうです。そのお洋服の持つ魔法にかかってほしいなと思っています。
──松村さんはモデルとしても活躍されていますが、また違うものなんですか?
松村:ああ、そこにも共通点があります。私、お洋服が大好きなのに、どういうシチュエーションでどの服を着たらいいかわからなかったんですけど、ファッション誌の撮影には「女子会」とか「彼と待ち合わせ」といった細かいシーン設定があるので、そこで「こういうときは、この服を着たらいいのか」といつも学ばせてもらっていたんです。『Lantinam』には時間というコンセプトが用意されていて、たとえばアフタヌーンティーにはこのワンピース、ディナーにはこのワンピースとか、私みたいに「この洋服可愛いけど、どういうシーンに着ていいのかわからない」とちょっと迷っちゃう方々にご提案できたらと考えています。
──なるほど。思えば松村さんはモデルの仕事を始めてから、どんどんファッション方面に洗練されていった印象があります。もともとそういった方面での仕事に憧れを持ってこの世界に入ってきたわけではありませんが、日々の仕事でいろいろ学んでいく中で知識を得た結果、今度は蓄えたものをファンの方々と共有したいという思いがどんどん芽生えていたんでしょうか?
松村:その通りです。本当に私は乃木坂46に入ったばかりのころ、極端に言えば「布だったらなんでもいい」くらいのタイプだったんですけど(笑)、グループでの活動やモデルのお仕事をたくさん経験して、お洋服で楽しむ喜びを知ったというか。「こんなに可愛い服を着たら、人生こんなに楽しいんだ!」ということを知れたので、その喜びを皆さんと共有できたらというのはありますね。
──そういったコンセプトを踏まえて、それぞれのアイテムに松村さんならではのこだわりも反映されていると思います。
松村:やっぱり、一番はスタイルアップですね。スタイルがよく見えるお洋服というのは自分の中では外せないポイントなので、そこは絶対的なこだわりです。
私もモデルをやらせていただいているんですけど、自分自身にコンプレックスがたくさんあるのでそういう部分をカバーできるように……たとえば足が長く見えたりウエストがキュッとして見えたりと、どのお洋服を着てもスタイルが悪く見えないようにということは重視しています。あとは、プリンセス感。
──さっきの「非日常に連れて行ってくれる」ですね。
松村:はい。プリンセス感も大切にしています。
──具体的にどういう点にこだわると、スタイルがよく見えるんでしょう?
松村:ウエストのベルトのちょっとした高さによっても全然違いますし、ノースリーブでも肩の幅をどれだけ出すかで全然腕の太さが違って見えたりするんですよ。だからチームの皆さんと何回も話し合って、何回も試着して「あともう1センチ出そう」とか、そういう微調整を納得するまで日々繰り返しています。
──そういうこだわりが、6月に発売された第1弾に反映されていると。
松村:はい。みんなノースリーブって抵抗があると思うんですけど、実は乃木坂46って意外とノースリーブ衣装もたくさんあって、肌の露出も思っている以上に多いんですよ。それでも清楚に見える形だとか、そういう見せ方がすごく上手だったので、そういう衣装をたくさん着たことを参考に、「ここをこうやったら上手に肌を見せつつ、スタイルをよく見せられるんだな」とかそういうエキスを散りばめています(笑)。
──そういった乃木坂46で約10年学んだことが、『Lantinam』のアイテムには反映されていると。
松村:すごく反映されていますね。乃木坂時代に着させていただいた衣装にも「ここ、もうちょっとこうしたいな」と個人的に思っていたものもあったので、そのときに感じたことを今存分に放出している感じです。