安全装備や自動運転でますます高額化している現代のクルマ。上手に購入する方法は? さらに、所有してからも様々なトラブルやアクシデントが起きるのがカーライフ。それら障害を難なくこなし、より楽しくお得にクルマと付き合う方法を自動車ジャーナリスト吉川賢一がお伝えします。
世界的にSUVの人気が続いていますが、海外ではセダンやステーションワゴンも根強い人気があり、ラインアップも充実しています。かつては日本市場でもレガシィの人気で一世を風靡したステーションワゴンですが、セダンに近いハンドリング性能でありながら大きな荷物も積めてしまうというパッケージングによる魅力は、いまも決して色あせていません。ロングドライブを優雅に楽しみたいという方にむけ、魅惑の欧州ステーションワゴンを4台紹介しましょう。
■メルセデス CLAシューティングブレーク(509万円~)
メルセデスにはCクラスとEクラスにステーションワゴンがありますが、今回は美しさにこだわった「CLAシューティングブレーク」を推します。CLAはメルセデスの4ドアクーペモデルで、そのステーションワゴンバージョンがシューティングブレークです。優雅でなだらかなルーフラインで、非常に美しいプロポーションとなっているのが特徴です。
ノーズが長く、トラディショナルなイメージのCクラスやEクラスとは一線を画すデザインは、若々しさと押しのある存在感が感じられながらも、嫌味のないまさに新しいステーションワゴンといった雰囲気。メルセデス CLAシューティングブレーク。若々しいスタイリングとメルセデスならではの高級感、軽快な走りが楽しめる
ラインアップも1.4ℓ直4ガソリンターボ、2.0ℓ直4ディーゼルターボ、2.0ℓ直4ガソリンターボと、最新の環境基準に合わせながらも上質なドライビングが楽しめるパワートレインが用意されています。 美しいクーペのスタイリングを楽しみながら荷物もしっかり積めて、かつ先進的なテクノロジーでスマートにドライブしたいという方におすすめしたい一台です。
■アウディ A6アバント(816万円~)
アウディのラインアップでも上級モデルに位置するA6には、セダンの他に、「Avant(アバント)」というステーションワゴンがあります。アウディ伝統の4WDシステム「クアトロ」を軸に、先進のメカニズムとモダンなラグジュアリーを高い次元で融合させているのが特徴です。
フロントは、アウディのアイデンティティでもあるシングルフレームグリルの存在感と、LEDヘッドライトですっきりとした表情に、リアはコンビネーションランプの中心を貫くように水平のクロームバーが配置され、左右それぞれ9つに分割されたリアライトが印象的。全体的なスタイリングはステーションワゴンの王道を行くものですが、ディテールに高級感が演出されています。アウディA6 アバント。ステーションワゴンの王道スタイルでありながら、先進のメカニズムとデジタル世代に対応した高級感でその魅力を高めている
エンジンは直4の2.0ℓとV6の3.0ℓの、TFSIエンジンと、直4の2.0ℓクリーンディーゼルエンジンをラインアップ。絶えず走行状況をモニターし、最適な駆動トルクを前後に配分するクワトロシステムと7速Sトロニックの組み合わせにより、街乗りからロングドライブまでストレスのない快適なドライビングが楽しめます。
■ポルシェ パナメーラ スポーツツーリスモ(1394万円~)
パナメーラは、ポルシェ初のフル4シーターモデルとして2009年に登場したモデルで、スポーツツーリスモは2代目パナメーラに設定されたポルシェ唯一のステーションワゴンモデルです。全体的なフォルムはパナメーラと似ていますが、しっかりとステーションワゴンらしいリアゲートが確認できます。もちろん、クーペモデルとしての美しさは損なわれていません。ポルシェ パナメーラ スポーツツーリスモ。ポルシェのパフォーマンスを楽しめる実用的なステーションワゴンだ
スポーツツーリスモで最もホットなモデルは「GTS」で、搭載されるエンジンは4.0ℓ V8ツインターボ、最高出力は353kW(480ps)/6500rpm、最大トルクは620Nm/1800-4000rpm、電子制御4WDに8速PDKで最高速度は292km/h、0-100km/h加速は3.9秒というパフォーマンスです。
ポルシェラインアップにふさわしい動力性能と大人4人がしっかり乗れて荷物もきちんと積載できる。これこそまさに究極のステーションワゴンと呼ぶにふさわしいモデルでしょう。
■ボルボ V90(714万円~)
ステーションワゴンの歴史が深いボルボ、その最新のステーションワゴンの一つが「V90」です。2030年までに完全な電気自動車メーカーになることを計画しているボルボは、現在V90に48Vハイブリッドモデルとプラグインハイブリッドの「リチャージ」をラインアップしています。
ボルボ V90。こだわりのメカニズムとぬくもりのあるスカンジナビアデザインで意識の高いステーションワゴンが完成した
シンプルでモダン、しかしどこか温もりを感じさせるスカンジナビアデザインは、他のヨーロッパメーカーとはひと味違った魅力があります。北欧の家具のような仕立てのよさと環境性能を意識したメカニズム、そしてボルボの高い安全性と、どれを取っても意識が高いモデルであることを感じさせてくれます。
■まとめ
SUVもオンロードでの性能が高くなってはいますが、やはりツーリング性能は、セダンやステーションワゴンのほうが快適。メルセデスのシューティングブレークなど、最近はデザインだけでも選びたくなるくらい洗練されたモデルも増えてきています。「そろそろSUVもありきたりで、飽きてきたな…」という方はぜひ、ステーションワゴンを検討してみてください。