5速マニュアルのストリートレーサーはウィリアム王子が後部座席に乗車したことも
Peoples Princess(ピープルズ・プリンセス)として親しまれ、エイズ問題や地雷除去問題などの慈善活動家としても知られていたが、1997年にパリで起きた不慮の事故で他界した故 Princess Diana(ダイアナ妃)。このほど彼女が乗っていた1985年型「Ford(フォード)」 Escort RS Turbo(エスコートRSターボ)S1が、英国「Silverstone Auctions(シルバーストーン・オークションズ)」で8月27日(現地時間)に出品されることになった。
王室御用達の「Rolls-Royce(ロールス・ロイス)」とは対照的なこの車だが、じつはPrincess Dianaのファーストチョイスではなかったらしい。彼女が最初に選んだのはもっと大人しい「Ford」Escort1.6のカブリオレ仕様で、色はレッドだったという。しかし彼女のセキュリティを担当するロンドン警視庁直属の「SO14 The Royalty Protection Command(王族保護司令部)」の要請を受け、プライバシー保護や安全面といった明白な理由から乗り換えを余儀なくされ、当時すぐに買える車としてこのRS Turbo S1を選んだのだという。参考までにこちらの車は最高出力132馬力、トップスピード200km/h超えの当時としてはハイスペックなストリートレーサー仕様だ。
このFR(フロントエンジン・リアドライブ)駆動で5速マニュアルトランスミッションのサルーン・スポーツカーには、助手席に乗る保護官用のサブ・バックミラーと、グローブボックス内に通信用ラジオが取り付けられていたこともあり、そのケーブルが現在も残っているという。この車はその後数年間チェルシーのブティックやケンジントンのレストランで多くの写真を撮られることになり、ある報道写真では、将来の国王となるPrince William(ウィリアム王子)が後部座席に座り、母親が微笑みながらハンドルを握っている姿が写されている。
この特別なRS Turbo S1は約3年近くPrincess Dianaの足として活躍し、1988年に英国「Ford」に戻され社内で売却されたのち、1993年に地元FM局の販促用プレゼントとして一般リスナーのもとに渡って行った。しかし2008年に「Ford」RSのコレクターがこの貴重な車両を発見し購入、現在まで大事に保管されていた。走行距離24,961マイル(約4万キロ)、メンテナンスの領収書、「Ford」社の社内メモ、新聞の切り抜き、Princess Dianaがこの車を使用していた時の写真、当時の登録書類などが付属している。
この歴史的な「Ford」をより詳しくご覧になりたい方は、「Silverstone Auctions」のウェブサイトでチェックしてみよう。