「絶景かな、絶景かな」で知られる南禅寺は、言わずと知れた紅葉スポット。境内の山門や水路閣など見ておきたい場所はたくさんありますが、シーズン中はどの場所も人でいっぱい。そんな時は、南禅寺塔頭である「天授庵」を重点的に散策するのもおススメです。枯山水・池泉回遊式と趣向が異なる2つの庭園、借景に紅葉が燃えるように映る書院からの風景など、フォトスポットが多数。早朝のうちに南禅寺を拝観し、人が増えてきたら天授庵へ…というツウなルートで巡ってみませんか?
Summary
「天授庵」は暦応2年(1339)、南禅寺の第15世であった虎関師錬により創建。応仁の乱で焼失しましたが、細川幽斎の多額の寄付によって1602年に再建されました。その際に整備された本堂(方丈)、旧書院、正門などの伽藍は今も現存しています。
本堂などの建物内は非公開ですが、国指定重要文化財である長谷川等伯の襖絵など数々の寺宝も残っています。
暗闇に浮かぶ、ドラマチックな赤と黄の借景
門をくぐるとまず目の前に現れるのはこの絶景。書院の奥は大きなガラス窓になっており、その背後にある南庭の紅葉がまるで大きな襖絵のように窓枠の中に映されています。思わず写真を撮らずにいられませんね!
南禅寺の三門を横から仰ぎ見るスポット!
また参拝受付からすぐの場所で、南禅寺の三門を横から見上げることができます。通常とは違った角度からの山門は、赤や黄のモミジに包まれ、また美しい威容を誇っています。
黄金に輝く木々の中に方丈がそびえる、モダンな枯山水庭園
天授庵の大きなみどころである2つの庭。方丈前庭(東庭)は「淵黙庭」と呼ばれる枯山水庭園で、苔に縁取られた畳石が敷かれた構成がユニーク。白砂は大河を表現し、その中には「苔島」が配置されています。赤と緑と白の色の対比が美しいですね。
ちなみに方丈前庭の紅葉は比較的色づくのは早く、例年では見頃が11月末ぐらいまでなので訪れる場合はお早めに。
モネの絵のように美しい、池泉回遊式の書院南庭
もう一つの庭は池泉回遊式庭園である書院南庭。枯山水の庭園からこの庭に続く飛び石の道には小さな門が。その周囲も紅葉の時期はモミジが色づき、侘び・寂びを感じさせる風景です。
池泉回遊式とは、池の周りに園路を巡らせて周遊することのできる庭園です。この庭も、池の南側に蓬莱島があり、飛び石や橋が配されています。
池には煌びやかな鯉が泳ぎ、モミジの合間を悠々と泳ぐ姿が風雅です。池の背後には青々とした竹林が茂り、赤いモミジとのコントラストが鮮やか。なおこの池には「八橋」という名の橋が架かり、八枚の板を組み合わせたジグザグな形が特徴的。食べる「八ツ橋」の由来になったという説もあります。
南庭の敷地はおよそ1000坪もあるので見応えたっぷりです。庭園好きな人は時間を忘れて過ごしてしまいそうですね。天授庵は「方丈前庭」と「書院南庭」で紅葉の見ごろが違うので、両方を楽しめる11月末にかけて訪れるのがベストタイミングかと思います。
■天授庵
てんじゅあん
住所: 京都府京都市左京区南禅寺福地町86−8
TEL:075-771-0744
拝観:9~17時(11月から冬期は~16時30分)
定休日:11月11日午後~12日午前
料金:拝観500円
Photo:ハリー中西
Text:猫田しげる
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