自分にしかない強みで、ストリートシーンを賑わす日本人アーティスト6名にフォーカス。反骨精神と媚びない感性を武器に、新しいカルチャーを生み出している。ひょっとしたら、アナタも知らぬ間に街で彼らの作品を目にしているかも!?
Yoshirotten/グラフィック・アーティスト
ドリーミーな世界観へ引き込む、類いまれな才能と感性。
ヨシロットンは一つの分野に止まらず映像や空間、CGと幅広く活動する多彩な才能の持ち主だ。自身のクリエイティブスタジオ「YAR」は、グラフィック界でもひときわ異彩を放っている。自然や宇宙からインスピレーションを得ているという幻想的な世界観には、現代のユースカルチャーを複雑にミックス。今後の夢に対し「プロダクトデザインや長篇映像などやったことのないことをやってみたい」という言葉からは、無限大の可能性が感じられる。
Toya Horiuchi/グラフィック・アーティスト
Photo: Kaito Tsunai
NYストリートシーンの第一線で活動。
NYを拠点にLQQK STUDIO、BOOK WORKS、CNYなどコアなファンを抱えるブランドにグラフィックを提供する30歳、トウヤ・ホリウチ。スケートボードやヒップホップなどのストリートカルチャーのみならず、コンテンポラリーアートやミニマリズム彫刻、建築など幅広いジャンルが彼のインスピレーション源。磨き上げられた鋭い感性から生み出されるデザインは、品格を備えた絶妙なバランスが漂う。「作品づくりは挑戦。2年以内にケンドリック・ラマーと仕事をしたい」
Tetsunori Tawaraya/アーティスト
LAブランドBRAIN DEADからリリースされたTシャツのバックプリントをデザイン。
脳裏に焼きつく、世にも不思議な生き物たち。
一度見たら忘れられないほどの強いインパクトを与える未知の生物とヴィヴィッドな色彩。好奇心をくすぐる作品は、『遠野物語』などの妖怪系民話からパンクバンド、ルーディメンタリー・ペナイのニック・ブリンコのアートワークまで幅広いカルチャーに影響を受けてきた俵谷哲典によるもの。過去に、BRAIN DEADやVOLCOMなどのストリートブランドとコラボしたことも。来年、イギリスの人気グラフィック・アーティスト、ウィル・スウィーニーとの展示を予定。
Ly/ペインター
モノクロのモンスターが突如街に出現!
表参道や原宿を歩けば一度は目にしたことがあるだろう壁にペインティングされた黒と白の世界は、主にミューラル(壁画)を専門とする女性アーティスト、リイが制作。一貫したモノクロの色使いで、今まで訪れた街並みや幼い頃に妄想した風景に自身の思いを投影したモンスターを描いている。過去にはザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)やコーチ(COACH)からオファーを受けたことも。ストリートアートがローカルに根付き、壁を通してのコミュニケーションを目指している。
Kyne/アーティスト
今、若手クリエイターが集まるカルチャー発信地として新たに注目されている福岡。その中の一人、30歳のキネが描くアイコニックな少女のグラフィックは、どこか懐かしくて新鮮だ。80年代のレコードのジャケットやマンガとストリートカルチャーをミックスさせた独自のイラストは、女性にもファンが多い。街を舞台に活動を続け、ギャラリーやショップで個展を行うほか、ファッションブランドとのコラボや、CDジャケットのイラストも手がけている。
Kosuke Kawamura/コラージュ・アーティスト、グラフィック・デザイナー
名だたる人物とも共演! 再構築する美を追求。
「切って貼るという誰もができるフィールドで、どこまで行けるのか興味があった」と作品づくりのきっかけについて話す河村康輔。雑誌や原画を手とシュレッダーで切ってコラージュするアナログ手法は、デジタルにはない開放感と緊張感を生み出している。これまでC.EやADIDASなどのファッションブランドから、田名網敬一や森山大道など錚々たるアーティストたちまでとタッグを組んできた。ゲームのようなプロセスだという本人の言葉に少年心が垣間見える。